声をかけすぎる接客が苦手な人がいる。
逆に、まったく見られていない空気も居心地が悪い。
“ちょうどいい距離感”というのは簡単だけど、
実は一番、難しいことなのかもしれない。
天神の居酒屋「大晴海」では、接客を“サービス”というより、
“空気をつくること”だと考えている。
【気づかないくらいの、気づき方】
カウンターで一人飲みをしている人には、無理に話しかけない。
でも、箸が止まったときや、お冷が減ったときには、さっと気配を送る。
何も言われていないのに、目が合うと「もう一杯どうですか?」と聞いてくれる。
それは、ずっと見ているのではなく、「見守っている」距離感。
その“気づき”が自然すぎて、お客さんがそれと気づかないのが理想だ。
【スタッフ同士も、静かに連携している】
カウンターのおでん鍋で湯気が立つと、
奥のスタッフが「そろそろ追加されるかな」と目をやる。
調理中の料理人の視線の先に、
「もう少しゆっくり出して」という空気が伝わる。
声ではなく、動きで。
接客ではなく、“気配のバトン”で客席が回る。
このリズムが、大晴海の空気をつくっている。
【“静かで、温かい”をつくるには】
たとえば、常連さんと会話が弾む日もある。
でもその声は、隣の席には届かないように、自然とトーンを落としている。
たとえば、団体のお客さんが盛り上がっているとき。
奥の席からはその楽しさを遠ざけ、
カウンター席には“いつも通りの静けさ”を保つ。
それは、**「お客さんの時間を邪魔しない」**という店の姿勢だ。
【接客しない、という接客】
料理に感動してくれたとき、何も言わずに軽く会釈するだけ。
でも、帰り際に「また来ます」と言われたら、しっかりと目を見てお礼を言う。
お客さんが求めているのは、
“話し相手”ではなく、“ちゃんとした場所”であることが多い。
だからこそ、大晴海は、
「そっとしておくけど、見ている」という接客を大切にしている。
【まとめ:店の“空気”も、味のうち】
料理の味は、塩だけで決まらない。
雰囲気、距離感、居心地──
それらもすべてが、店の“味”になる。
「ここって、落ち着くよね」
それはきっと、料理だけじゃなく、
“人”の温度がつくっている空気に気づいた瞬間。
それを感じてくれるお客さんが、今日もまた一人、席に座ってくれる。
天神 大晴海(たいせいかい)
静かに過ごしたい夜も、賑やかに楽しみたい日も。
“ちょうどいい距離”で、あなたの時間をお迎えします。